
GR DIGITALで撮るトラックバック企画第16弾「我が家」に参加
父から年賀状が届いた。
少々ぎこちなくはなったけれど、彼らしい字体が宛名に文面に踊っている。
彼に憧れて習字を習いたいと言い出したのは、小学校に上がるころだっただろうか。
年賀状に絵をつけた筆で、古新聞に書いた「冬」の文字を褒めてくれた寒い朝と、
春になり、彼について行った書道教室で、初めて筆をとった日を今でも覚えている。
彼とは戸籍上で親子ではなくなった日から、長く逢っていない。
力強く踊る「迎春」の文字に比べて、年賀状の隅に遠慮がちに書かれた
「父より」の文字を、彼はどんな気持ちで書いてくれたのだろう。
忘れずにいてくれてありがとう。
そんな気持ちをこめて、返す年賀状に「娘より」と入れてみた。
少し照れくさい。
今度実家に帰る時には、父の好物を持って会いに行こう。
そういえば、父の好物って何だっけ?
土産を手にした花の盛りを過ぎた娘を見て、あなたはがっかりするだろうか。
そして歳を重ねたあなたを見て、私はどう感じるのだろうか。
そんなことを考えながら、幼い頃に憧れた父の筆を繰る姿と
豪快に踊る年賀状の文字を重ねる松の内です。